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2024年01月04日号 (第491)

令和6年度税制改正大綱 所得税① 定額減税

 新しい年を迎えました。今年もよろしくお願いいたします。年明けということで、今年の税制改正について順次ご紹介していくこととします。

 今年の税制改正で一番注目されている定額減税のお話からです。

所得税

 令和6年分の所得税について、定額による所得税額の特別控除が実施されます。

 居住者の所得税額から、特別控除の額を控除する制度です。ただし、令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下である場合に限定しています。給与収入であれば2,000万円以下である者が対象です。

 特別控除の額は以下の合計額ですが、その合計額が所得税を超える場合は、所得税額が限度となります。

① 本人 3万円

② 同一生計配偶者又は扶養親族 1人につき3万円

 例えば、配偶者と2人の子を扶養している場合は、本人分も含めて12万円の控除額となりますので、思いの他インパクトのある改正となります。

 特別控除のタイミングですが、令和6年6月以後の最初の給与から源泉徴収される所得税額から、特別控除に相当する金額を控除します。控除しきれない場合、それ以後の給与で源泉徴収される所得税額から、順次控除していくことになります。

 給与所得者ではなく、公的年金等を受給している場合も特別減税は実施され、6月の年金支払いの際の源泉徴収される所得税額から、特別控除の金額を控除していきます。控除しきれない場合、次回以降の源泉徴収される金額から控除されていくことで調整されます。事業所得者の場合は、第1期分(7月)の予定納税から控除され、控除しきれない分は第2期分(11月)の予定納税から控除されます。

 6月以降の給与や予定納税で控除しきれない金額がある場合、年末調整あるいは確定申告で、最終的に控除額を調整することになります。

個人住民税

 令和6年分の個人住民税について、定額による所得割の額の特別控除が実施されます。

 納税義務者の所得割の額から特別控除の額を控除する制度です。ただし、令和6年分の個人住民税に係る合計所得金額が1,805万円以下である場合に限定しています。給与収入であれば2,000万円以下である者が対象です。

 特別控除の額は以下の合計額ですが、その合計額が所得割の額を超える場合は、所得割の額が限度となります。

① 本人 1万円

② 控除対象配偶者又は扶養親族 1人につき1万円

 住民税については控除対象配偶者とされており、令和5年の合計所得金額が1,000万円を超える個人住民税の納税義務者分については、令和6年分の住民税では控除されず、令和7年分の住民税から控除されることになります。

 住民税の納付額自体は自治体から送付されてくる通知書に従って控除していく形になりますが、給与所得であれば6月分の特別徴収をせず、控除しきれない金額を7月以降の特別徴収額から控除していく形になります。給与所得者以外の場合も6月の納付で控除し、しきれない場合はその後の納期分から控除される形になります。

 

 今年の定額減税のインパクトはあったのですが、6月以降の給与支給時に延々と調整を行う必要があり、多大な事務負担が発生します。また住民税の通知書を発行する自治体としては、急遽システム改修が必要となり自治体の負担も大きいと思われます。事務負担を考慮すると悩ましい形での減税となりました。

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